混沌丸出し人生 其の後

 

 どうやら、無事に終着駅に着いたらしい。

 

 しかし、ここは出発駅と同じ風景。誰かが私を混乱させようと、終着駅に出発駅と同じ装いをさせたのだろうか。

 だけど、隣で座っている人も、向かいで寝ている人も、出発の時と全く同じ人達だ。そこまで同じように細工する意味がわからない。まさか、精巧に作られたハリボテか。

 

 

 ここが出発駅でも、終着駅でも構わない。

 これまでも生きてきたし、これからも生きていく、その通過点でしかない。

 生きるということはそれだけで苦しむ要素を孕(はら)み、また楽しむ要素も孕んでいる。どちらか一方だけ掬(すく)い取ろうとすれば、余計な力が必要になる。

 

 それはつまり、苦しむだけの人生を、自分で選んでいるに等しい。もっと流れに素直でいいと思う。

 

 

 私は鍼灸師となった。それはきっと、通過点。

 まだ新参。それもきっと、通過点。

 

 鍼と艾(もぐさ)で身体を癒やし続ける、その歴史に惚れた。だから、鍼灸師だけ。

 

 ところが最近、薬膳の勉強を始めたのは、鍼灸だけで生きていくという信念を裏切ったようで、いささか心苦しい。

 そのベクトルを変えてもよいなら、通過点であった鍼灸が再び出発点となり、新たな通過点が見えてきたという事でしょうか。

 

 ここが出発駅でも、通過点でも、若しくは終着駅であろうとも、先ずは「看脚下(かんきゃっか)」の精神で生きていきたいものです。

 

 

 〜完〜

 

 却下…